征途〈上〉衰亡の国 (徳間文庫)



征途〈上〉衰亡の国 (徳間文庫)
征途〈上〉衰亡の国 (徳間文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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重厚で壮大ですが、それだけでなく

現在も「皇国の守護者」などを執筆し、文章力と
表現力に定評のある方だけに、読んでいてもフィ
クションと言うことを忘れそうになるほど、迫真
の内容でした。

大戦の終盤から、1990年代までを見事に描き
切った名作で、全3巻で見事まとまっています。
日本だけでなく、アメリカやソ連(今や、なつか
しい単語になりましたが)など、様々な視点から
物語が展開し、読みごたえがあります。

またあちこちに意外なかたちで意外な人物が姿を
見せたり、私たちが知っている以外の姿を見せて
くれる点も、見逃すことができないでしょう。

日本を代表する歴史小説家として、不動の地位を
築いている方が陸上自衛隊の重鎮になっていたり、
SF作家として有名な方が、まったく違う役職に
ついていたりして、その演出の巧みさに感心させ
られます。

[大和]に関わっている主人公の兄が「守」で、
弟が「進」だったり、通信コールに「ロプロス」
「ロデム」「ギャラクティカ」などがあったり、
あちこちで筆者の「ニヤリ」とさせられる引用
も楽しめたりで、何回読んでも飽きません。

すっきりとまとまった良作

伝え聞くところでは、この作品は当初予定ではもっと長い作品になる予定だったらしい。それが出版側の事情で短縮され、作者としては不本意な終わり方をしたのだそうだが、完成品を眺める限りでは、非常に上手くまとめたという感じがする。瓢箪からコマである。
未来と過去が交互に繰り返されるプロットは大変効果的で、単純に時系列順で語るよりも、ずっと読者に親切な構成となっている。
イフは、「もしもレイテ沖で栗田艦隊が反転しなかったら」というオーソドックスなものである。日本は分断国家となって、冷戦の矢面に立たされる。これは朝鮮半島の日本版であって、まもなくおこるであろう、北朝鮮の体制崩壊をもシミュレーションしている。二重の意味で楽しめるたいへんお得な小説と言える。



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